2020年1月30日木曜日

イランのウクライナ国際航空機撃墜


1月8日(水) イランの首都テヘラン発キエフ行きのウクライナ旅客機が離陸直後にイスラム革命防衛隊のミサイルに墜された。乗員乗客176人全員が死亡。当初イラン当局は機械的故障による墜落と主張し、「イランが誤って撃墜した」という欧米メディアの報道に対して「この空域は国際便や国内便が行き交っており、そうした場所でミサイルを発射するなどありえない」「ミサイルで撃墜されたならばらばらになっているはずだが、パイロットは機体から火が出たあと空港に引き返そうとしていた」などと撃墜を全面否定していた。しかし機体が墜落する瞬間とされる動画がYoutubeやSNS上に複数投稿されたり、イランで運用されている9K330のものと思われる地対空ミサイルの部品が事件後に散乱していたことなど動かぬ証拠が出てきたことから1月11日、一転してイスラム革命防衛隊が誤撃墜を認める声明を発表し、謝罪。イラン革命防衛隊の航空宇宙部隊司令官は「全ての責任を負い、下されるどんな決定にも従う」と表明。テヘランでイラン政府とイスラム革命防衛隊が当初虚偽の説明をしたことに対し怒りの1000人規模の抗議デモが発生。
 事件の背景として、1月3日にイスラム革命防衛隊の司令官ガーセム・ソレイマニがバグダッドで米軍に殺害されイランと米国間で緊張が高まり、イランの軍が米国に対して臨戦態勢を敷いていたことが挙げられる。

2020年1月29日水曜日

武漢肺炎1

★ 湖北省武漢市で肺炎が集団発生。武漢市は中国で8番目に人口の多い都市。人口は「1100万人」とも「戸籍人口908万人、流動人口510万人」とも言われる。

 コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスで、多数の種類がある。外形が太陽のコロナに似ていることで名づけられた。人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られているが、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は軽度の症状にとどまる。
 最もよく知られているコロナウイルスの流行はSARS。中国広東省で発生し、2002年11月から2003年7月に中国を中心に世界26か国で約8,000人が感染し、774人が死亡(致命率約10%)。
 今回の新型コロナウイルスの症状は、鼻水や頭痛、せき、発熱など軽度な場合が多いが、高齢者や糖尿病など持病がある人が重度の気道疾患になりやすいという。潜伏期間は不明だが最大14日程度と想定されている。


12月8日 初めて今回の肺炎患者が見つかったとされる。

12月31日(火) WHOの中国事務所が未知のウイルスについての第1報を受けた。
 ウイルスの発生源は武漢市の海鮮市場らしい。ここではリスの一種、鳥、ウサギ、コウモリ、ヘビなどの野生動物が違法に取引されていて、海鮮市場の屋台の店主などが動物との接触を通じて最初に新型肺炎に感染したらしい。SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの発生源と同じくコウモリにみられるコロナウイルスと遺伝子構造が酷似しているという。武漢市の市場は検査・洗浄のために1月1日から閉鎖された。

1月22日(水) WHOが会合を開き、09年豚インフルエンザ、14年のポリオ、15年ジカウイルス、14年、19年のエボラ出血熱に続き「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を出すかどうか検討したが、これまでのところ中国国外で人から人へと感染した証拠が存在しないとして、新型コロナウイルスが現時点では世界的な緊急事態ではないと結論づけた。

1月23日(木) 新型ウイルスの感染拡大に歯止めをかけるために武漢市が突如封鎖された。春節休みの前日ということで、すでに多くの武漢在住者が同市を離れた後で、武漢市長によると封鎖前に約500万人が同市を離れ、まだ市内にいるのは約900万人だという。

1月24日(金) 中国の春節休み始まる。春節とは旧暦の1月1日のことで、冬至の次の新月が12月1日と定まっているので、その次の新月、要するに「冬至の次の次の新月」が旧暦の元旦になる。2020年の春節は1月25日。中国の春節の休みは春節前日から1週間と決まっていて、今年は1月24日(金)~30日(木)。

1月27日(月) 中国国務院は全国規模の措置として、春節休暇を3日延長して2月2日までにすると発表。証券市場の取引再開も、1月31日からではなく2月3日になった。また、上海市が2月9日まで、蘇州市が2月8日まで、企業の休業措置を決めたと発表している。
 27日時点で世界中で2,750人以上が新型ウイルスに感染。大半は中国内だが、海外へも感染を広げている。死者は81人に達しているが、中国国外での死亡例は報告されていない。

1月28日(火) 湖北省の保健当局が、27日の一日で新たに24人の死亡が確認されたと発表。これで新型コロナウイルスによる死者が106人と急拡大。これまでに感染が確認されたのは、中国本土全体で4,515人に達し、このうち2,700人余りは湖北省の患者。感染は中国以外でも16の国と地域に広がっている。中国本土以外での死亡例は確認されていない。日本では国内初の人から人への感染が確認された。奈良県のバス運転手で、武漢からのツアー客を乗せて運転したという。

1月29日(水) 中国当局はが、死者が新たに26人報告され、計132人になったと発表。感染例は前日時点で5974件、疑いがあるのは9239件。2003年のSARSで中国で公式に報告された感染例5327件を上回った。
 日本政府は武漢に滞在する日本人で帰国を希望する650人を順次チャーター機で帰国させることにしたが、その最初のチャーター機が206人を乗せて帰国。そのうち40代と50代の男性2人が肺炎と診断された。
 トヨタ自動車が中国での工場操業を2月9日(日)まで停止すると発表。10日以降については状況を見て判断するという。 

1月30日(木) 中国当局発表:29日に患者がさらに1737人増え7711人になり、死亡した人は170人になった。また29日はチベット自治区で初めての患者が確認され、これで中国のすべての省、自治区、直轄市で患者が確認された。患者のうち症状の重い人は1370人にのぼっている。武漢以外の周辺の都市も感染が広がり、特に隣接する黄岡については感染者と感染が疑われる人の数が合わせて1000人を超えているという。
 新型のコロナウイルスは2003年の「SARS」と比べて患者が増加するペースが速いという。
 感染者は中国以外でも、19の国と地域で100人を超す人が感染している。中国国外でも日本、ベトナム、ドイツでヒトからヒトへの感染が確認されたことを受け、WHOは2回目となる緊急の委員会を開催し「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。

1月31日(金) 米政府もWHOに倣い「公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。

2月1日(土) 中国当局が、感染者が2102人増え1万1791人に、死者が46人増え259人に、感染が疑われる人は1万7988人いると発表。
 中国政府は本来1月30日(木)までだった春節休みを2月2日(日)までに延長していたがそれも期限が迫りUターンが本格化していて人の移動に伴う感染の拡大が懸念されている。
 中国以外で新型のコロナウイルスに感染した人が確認された国と地域は26に、感染者は合わせて158人になった。内訳:タイ19人、日本17人、シンガポール16人、香港13人、韓国12人、台湾10人、オーストラリア10人、マレーシア8人、アメリカ、ドイツ、マカオ各7人、フランス、ベトナム各6人、UAE4人など。

 日本政府は新型肺炎を感染症法の「指定感染症」などとするための政令を施行。

2月3日(月) 中国当局発表:2日の発表から<b>湖北省などで新たに57人増えて361人になり、2003年のSARSの死者数349人を上回った。</b>中国国内の患者の数は2829人増えて1万7205人となり、このうち症状の重い患者はおよそ2300人に。
 武漢では新型コロナウイルスに感染した患者を専門に治療する病院が完成し、2日、中国軍の医療チームに引き渡された。
 中国では春節の連休が明け、3日から仕事始めのはずだったが、北京や上海など各地の当局は感染拡大を抑え込むため、企業に対して業務の再開を1週間遅らせることや、在宅勤務にすることを求めていて、閑散としている。
 中国国外で初の死者が出た。フィリピンで1日、中国人男性が死亡した。

2月4日(火) 中国当局発表:3日、感染者が新たに3235人確認され、2万438人に、死亡した人は湖北省で新たに64人増え、合わせて425人となり、中国での死者は400人を超えた。また香港で死者が1人出て、中国本土外での死者は2人目となった。
 共同通信は、武漢市からチャーター機で日本へ帰国した邦人の感染率が565人中8人と1.416%で、1月31日現在の武漢市の感染者数3215人、感染率0.036%と比べて感染率が39倍であることから、武漢市の感染者数は実際は発表数字よりはるかに多いのではないかと推測した。

2月5日(水) 中国当局発表:感染した患者数が3887人増えて、2万4324人に。死亡者も湖北省で65人増えて合わせて490人に。武漢では突貫工事で建設された専門病院の運用が4日に始まったが本格的な患者の受け入れは進んでおらず、依然として医療体制の拡充が大きな課題に。
 中国以外で新型コロナウイルスへの感染が確認された国と地域は27、感染者は合わせて226人。主な国は、日本33人、タイ25人、シンガポール24人、香港、韓国各18人、オーストラリア13人、ドイツ12人、アメリカ、台湾各11人、マレーシア、マカオ、ベトナム各10人など。他にも欧州、中東、インドなどで確認されている。このうちフィリピンと香港で、それぞれ1人死亡。
 日本では、横浜に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で国内初の集団感染が起きた。新型ウイルスに感染した香港の男性が乗っていた同船の乗客乗員全員の計3700人余が検査を受け、5日に10人の感染が確認され、6日以降も随時検査結果が分かってくる。

2月6日(木) 中国当局発表:5日、感染者が新たに3694人確認され2万8018人に。死者は73人(うち湖北省70人)増えて計563人に。新たな感染者が3日連続で3千人を超え、その約8割が湖北省。武漢では突貫工事で建設された2つめの病院の運用が6日から始まる予定。
 湖北省の幹部は、中国全土から1万人以上の医師などが支援に駆けつけたとした一方で、呼吸器内科や重症患者の対応にあたる医療従事者が2000人以上不足しているとし、病院、医療従事者の不足が深刻さを増している。
 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」6日に新たに10人の感染が確認され、同船の感染者は合計20人に。国内で感染が確認された人は45人となった。

2月7日(金) 中国当局発表:6日、患者数が新たに3143人増えて3万1161人に、死亡者は湖北省で69人増えたほか、吉林省、河南省、広東省、海南省で各1人増え、中国での死者は合わせて636人に。新たな感染は4日連続で3000人を超え、その7割以上が湖北省の患者。患者のうち、症状の重い人は962人増え、4821人に。
 中国以外で感染者が確認された国と地域は27(2日前と変わらず)で、感染者は317人(2日前から89人増えた)に。
 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は2月3日から乗客と乗員全員の合わせて3700人余りの検疫を行い、このうち、発熱やせきなどの症状があったり、症状がある人と濃厚接触したりした合わせて273人から検体を採取してウイルス検査を実施してきた。7日、新たに日本人21人を含む乗客41人の感染が確認された。クルーズ船が横浜港沖に停泊して以降、乗客と乗員で感染が明らかになったのは61人となった。
 国内で新型コロナウイルスへの感染が確認された人は、クルーズ船の61人を含めて86人となった。つまりクルーズ船を除くと25人ということになる。

★武漢の眼科医、李文亮さん(34)が7日未明、肺炎で死亡。李さんは、当局の公表前の去年12月30日にSARSの陽性反応が出た患者がいることを知り、SNSのグループチャットで警鐘を鳴らしたところ、警察に呼び出され、「事実でない情報を広め、社会秩序を乱した」として、訓戒処分を受けた。李さんはそれ以降も病院での勤務を続けていたが、せきや発熱の症状が出たため、先月中旬に入院し、その後、新型コロナウイルスへの感染が確認され、7日未明に亡くなった。中国国内のネット上では李さんへの追悼と当局を批判するメッセージが多くみられるという。

2月13日(木) 武漢肺炎の神奈川の80代女性死亡、感染者死亡は中国以外では3人目、国内では初。また、誰から感染したか分からない東京のタクシー運転手や和歌山の医師が国内で出た。
 国内で感染が確認されたのは、クルーズ船の218人、検疫官1人、チャーター機の12人、それ以外の観光客などが20人の合わせて251人に。
 中国以外で感染者が確認されているのは27の国と地域で合計数は581人に。
 
★京都で感染者の治療にあたった医師はNHKの取材に対し「WHOの見解では感染者の8割は軽症。インフルエンザと同じような対策で充分だが、残りの2割、高齢者や持病を持つ人に移さないよう気を付けるべき」と話した。

2月14日(金) 中国当局発表:13日に死者が121人増え、計1380人に(集計の重複ぶん108人減らした数)。感染者は5090人増え、中国全体で6万3851人に。
 最も深刻な湖北省では入院患者が3万6000人余りいて、このうち1685人は重体。中国政府はこれまでに湖北省に2万人以上の医療スタッフを派遣したほか、軍の医療スタッフもおよそ4000人投入している。

2月21日(金) 中国当局発表。感染者は7万5465人、死亡者2236人に。また21日になって刑務所での集団感染が相次いで明らかに。湖北省の刑務所でも確認されているが、沿海部の山東省のの刑務所でも受刑者200人と看守7人の感染が確認されたと発表。
・日本国内の感染者は計737人。内訳は、日本で感染した人や中国からの旅行者などが89人、クルーズ船の乗客・乗員が634人、チャーター機で帰国した人が14人。都道府県別では、東京都28人、和歌山県12人、神奈川県9人、愛知県9人、北海道8人、千葉県6人、以下、沖縄県、京都府、福岡県、埼玉県、石川県、三重県、奈良県、大阪府。国内で感染が確認された人のうちクルーズ船の乗客乗員を除いて、19日までに合わせて22人が症状が改善するなどして退院した。
 クルーズ船の中の人で、基礎疾患があった2人が死亡している。クルーズ船からは順次下船が始まっている。
・中国、日本以外で新型コロナウイルスの感染者が確認された国と地域は28、感染者は573人。主な国・地域:韓国204人、シンガポール85人、香港65人、タイ35人、台湾26人、マレーシア22人、その他ドイツ、ベトナム、オーストラリア、アメリカ、フランス、マカオ、イギリス、UAE=アラブ首長国連邦、カナダ、イランなど。死者は香港、イランで2人、フィリピン、フランス、台湾、韓国で1人。

スーダン情勢

スーダンでは4年前の2019年4月にパンや燃料の値上げに抗議する市民のデモをきっかけに、軍がクーデターを起こして独裁的なバシール大統領を失脚させ、30年にわたる長期政権が崩壊。同時期にアルジェリアでも反政府デモで長期政権が崩壊したため「第2のアラブの春」と呼ばれた。  軍は民主化...