2021年8月16日のニュースとしてアルジャジーラが報じた。すでに現大統領は国外に脱出していて現政権は事実上崩壊している。前大統領もタリバン政権への権力移行に関する会議に出席するなどしているらしい。
それでもバイデン大統領は8月31日までの米軍完全撤退を改めて宣言するなどしている。これはバイデンが副大統領を務めたオバマ政権で、米国は世界の警察たることをやめたと宣言したのと同じ路線で、今回のアフガニスタンはそれを具体的に示す例といえる。
これによってアフガニスタンは米国の影響を受けない、反米的な政権が誕生することになる。
アメリカはアフガニスタンに20年駐留し、100兆円以上を使い、人的な犠牲も含めて多大な資源を投入し、アフガニスタンに近代国家を作るべく努力してきたが、それが失敗に終わったことを如実に示している。
アメリカが世界のこうした国々から手を引けば、同様のことが世界じゅうの後進国で起きることになる。アラブの春で民主化した国々でも、順調に行っているところはたぶん皆無。
これによって何が起きるかというと、まず世界の、民主的で近代的な社会が機能する先進国と、それらがどうあっても機能しない後進国に分かれ、後者には中国、ロシアが入り込む。彼ら後進国モデル、つまり最初から民主主義など目指さず、専制的な政権が国民を抑圧しながら統治するという体制で安定をみせる。しかし潜在的に先進国的体質をもっている国々、たとえばハンガリーなどは中国の影響力を生理的に嫌悪し、彼らを追い出したりしている。こうして世界はきれいに二極化する。我々先進国としては先進国モデルが機能する国々が広まってほしいが、米国の少なくとも民主党政権はもはや国際社会で後進国にエネルギーを費やしてもしょうがないとあきらめてしまった。それが今回のアフガニスタン撤退だ。これ以降は、地域地域によってその場にある先進国のリーダーシップが重要になってくる。日本だったら、台湾、アセアンなどが重要だが、ミャンマーの例をみても、そういう民主主義が本当に機能する日が来るのだろうか、と疑問な国が目立つ。すでに日本は韓国を諦めてしまった観があり、韓国はやがて中国の完全な支配下に入る可能性が大きい。しかし日本の価値観はこうした中で紛いもなく先進国的なセンスの国であり、後進国、具体的には中国やロシアのような価値観に迎合し彼らの支配下に入ることに生理的に我慢できるわけがない。なので苦しいが、周辺の国々の先進国化を我慢強く支援するしかない。そうすると、たとえばマレーシアが中国と距離をとりはじめたように、徐々に成果が上がってくることも期待できる。そのためにも、日本はアメリカ、豪州、インドなど地域の民主的勢力と連携し、台湾など従来国交的には関係の薄かった国との連携も積極的に模索していくことがどんどん重要になっていく。