2023年4月20日木曜日

スーダン情勢

スーダンでは4年前の2019年4月にパンや燃料の値上げに抗議する市民のデモをきっかけに、軍がクーデターを起こして独裁的なバシール大統領を失脚させ、30年にわたる長期政権が崩壊。同時期にアルジェリアでも反政府デモで長期政権が崩壊したため「第2のアラブの春」と呼ばれた。

 軍は民主化勢力と共同統治を行うことで合意。軍トップのブルハン司令官と経済学者のハムドク首相という体制ができて2020年には順調に推移。しかし両者の対立が表面化し2021年10月に軍が再びクーデタを起し実権を握り、国連などが仲介に入る事態に。その過程で、2003年のダルフール紛争(30万人が死亡し世界最悪の人道危機と言われた)で立ち上げられたRSF(即応支援部隊)が軍と衝突。双方は4月15日以降、首都や国際空港などで激しく衝突、お互いに徹底抗戦の構えを崩していない。

2023年2月15日水曜日

日本の防衛・外交体制の現状

 ・最近のニュースから。中国の気球が国際的に問題になっている。日本にも何年も前から飛んできていたという。そのことは専門家や関係者などには分かっていたと思うが、アメリカが騒ぎ始めたこのタイミングで、あたかも初めて気が付いたかのように言うのは、日本という外交資源が必ずしも十分ではない国にとっては戦略的に必要なことかもしれない。もし日本が数年前にそれに気づいた時に中国に言っても、中国から満足な回答は期待できないだけでなく、逆に仕返しをされたり、日本は根拠薄弱なことで文句を言う国、みたいなレッテル貼りキャンペーンをされるかもしれない。しかし今このタイミングで言えばそうはならない。中国が悪いという世界世論に乗れるし、中国はアメリカや世界世論に対さなくてはいけないので日本に反発するエネルギーを十分に確保できないこのタイミングで中国に抗議するというのは、日本にできる最大限の外交戦略ではないだろうか。


・日本が防衛費を上げて、それを増税によって負担するということに国内世論は厳しい。しかし今日本が置かれている立場を考えれば他に選択肢があるとは思えない。アメリカはウクライナ支援で世界一の経済大国なのに過大な負担をしている。欧州もまた負担感が大きい。ここで古い冷戦時代の構図がそのまま蘇ってきて、ロシア、中国、北朝鮮などが日米欧が作る国際秩序に対抗してきている。世界的には戦争と冷戦の半ばにある。その時、欧米が負担する防衛体制にただ乗りは決して許されない。それをやろうとすれば1990年代の湾岸戦争の時のような反発を、味方であるはずの欧米から受ける。日本は、どんなに負担感が強くても、この新しい冷戦の中で防衛体制の軍事負担を負わなければいけない。まずは日本自身の直接の防衛負担。これをして、アメリカが安保条約に基づく日本防衛を最小限にすることがまずは日本の西側への最小限の貢献になる。これに反対する政治家や政党は、これは中国などからの工作活動で操られていると思われても仕方ないと思う。


2022年4月8日金曜日

国連人権理事会がロシアの理事国資格停止の決議を採択

4月7日(木)ウクライナの首都キーフ近郊などでの市民虐殺事件を受けてアメリカなどが中心となり、「ロシアによる重大かつ組織的な人権侵害に強い懸念を表明する」として、ロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止するよう求める決議案を国連総会に提出。日本は決議案の共同提案国に加わった。

 採決の結果、賛成93か国、反対24か国、棄権58か国。棄権と無投票を除いた国の3分の2以上の賛成で決議が採択された。

 ロシア国連次席大使は「現地の実際の人権状況と何の関係もない。ねつ造された資料や演出された映像、フェイクに基づくわれわれへの誤った侮辱を拒否する」と強く反発。

 アメリカのバイデン大統領は「プーチンの戦争がロシアを国際的なのけ者にしたことを改めて示す、国際社会による意味のある一歩だ」と述べた。

 国連人権理事会の理事国の資格が停止されるのは、2011年に反政府勢力を武力で弾圧していたカダフィ政権下のリビアが停止されて以来、2例目。


●賛成:欧米や日本、韓国など93か国。


●反対の24か国は、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、イラン、シリア、アルジェリア、中央アフリカ、コンゴ、エチオピア、ジンバブエ、ブルンジ、エリトリア、ガボン、マリ、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバ、ボリビア、ニカラグア。

 このうち中国やベトナムなど18か国は先月、ウクライナの人道状況の改善を求める決議には棄権したが今回は反対に回った。


●棄権の58か国はインド、ブラジル、メキシコなど。このうちブラジルやメキシコ、それにUAE=アラブ首長国連邦など39か国は先月、ウクライナの人道状況の改善を求める決議には賛成したが今回は棄権に回った。ブラジルは「国連人権理事会でウクライナの人権状況を調査する委員会の設置が決まり、同委員会による独立した客観的な調査の結果を待つべきだ」という考えを示した。インドは前回に続き棄権。

2022年4月5日火曜日

4月4日キーフ近郊ブチャでのジェノサイド報道

 4月4日 ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウの北西のブチャなどで多くの市民が死亡しているのが見つかった。ゼレンスキー大統領は4日、300人以上の市民が殺害されたり、拷問を受けたりしたという情報があるとのビデオメッセージを流した。


 またゼレンスキー大統領は4日、ブチャで報道陣の取材に応じ「数千人の市民が戦車でひき殺されたり手足を切断されたりし、女性は暴行を受け、子どもたちも殺されている。世界はこれが戦争犯罪だということを認めなければならない」「これは戦争よりひどい。ジェノサイドだ」と非難。


 同大統領は、犯罪に関与したロシア軍を特定し罰するためにEUや国際刑事裁判所などの国際機関と協力していくと述べた。


 ロシア軍に包囲されている東部の要衝マリウポリの市長は「ロシア軍の攻撃が激しさを増していて、町の9割近くが破壊され、4割は修復ができない状況だ」「いまも10万人以上の住民が取り残されていて食料や水、電気などがない状態が1か月以上も続いている」と訴えた。



 欧米各国はロシアに対して新たな制裁の動き。米サリバン大統領補佐官は、同盟国、友好国と協議し、今週中に新たな制裁を打ち出す見通しを示した。


 フランスとドイツは多くのロシア外交官の追放を決定。


 ロシア大統領府は「いかなる非難も断固として拒否する」と述べ関与を否定。


 松野官房長官は「強い衝撃を受けている」「民間人の殺害は重大な国際人道法違反」「厳しく非難する」「ロシアに対する制裁措置はG7などと連携し引き続き適切に対応する」


 米国防総省によると、キーウに展開していたロシア軍は3分の2が現地を離れ、ベラルーシへ移動し、補給や人員の追加を受けたあと、ウクライナ東部などでの戦闘に再び投入される可能性があるという見方を示した。


2022年1月11日火曜日

カザフスタン

 人口1878万人。面積272.5万平方Kmは日本の7倍以上、世界9位、内陸国としては最大の面積。中央アジアの政治的、経済的な最重要な国。首都は1997年までは国の南東端のアルマイト(中国やキルギスと近い)だったが現在では北のロシアに近いヌルスルタンに移っている。

 地図をみるとカザフスタンの南隣に「〇〇スタン」という国が固まっている。ウズベキスタン、キルギスがあり、その南にトルクメニスタン、タジキスタン、その南にアフガニスタン、そのまた南にパキスタン。この「〇〇スタン」の固まりが中央アジアといってよく、その南西に中東、南東に東ヨーロッパ、北はロシア、西は中国(ウイグル自治区)と接している。モンゴルとは形がよく似ていて、東と西に並んでいて、一回り大きいモンゴルという感じ。つまり、欧州、ロシア、中東アラブ世界、中国というそれぞれ異質な文明と距離的に近く、歴史的にも異文化の侵入があり国土も昔から統一的にこの国が存在したわけではない。現在では言語はカザフ語、ロシア語が話され、宗教はイスラム教。

 GDPは1816億ドル、一人当たりでは9750ドル。経済は石油、天然ガス、金融が主力産業。

 1991年にソ連から独立。それまでの指導者であったヌルスルタン・ナザルバエフがそのまま独立した共和国の大統領になり2019年までその座にあった。辞任後も政府の要職にとどまり続けていた。

 2022年1月2日、燃料価格の値上げに抗議するデモが勃発。政府はロシアなどに軍事支援を求め、10日現在、8000人を拘束したとされる。死者も多数出ていてその混乱は世界的なニュースになっている。

2021年10月13日水曜日

中国の最近の諸問題

 ・洪水。多雨に加えてダムが無警告放水をするために起こっている。警告放水をすると損害の補償をしなくてはいけないから無警告放水になるという。

・停電。オーストラリアが、中国は武漢発のコロナウイルスの発生源について客観的な第三者機関に事実を検証させるべきだと主張したところ中国が反発し豪州の石炭を買うのをやめたことなどが原因で燃料不足が中国国内で起こり、各地で大規模かつ長期的な停電が発生。工場が動かなくなるなどして労働者を解雇する動きも発生。中には賃金を払わずに解雇する動きもあり各地で労働者が抗議活動をしているという。

・不動産バブル崩壊の動き。恒大集団が8月頃から一部で債務不履行を起こしている。香港では恒大グループの株取引禁止になったりしているなど、恒大グループが上場している国では株価が暴落したりしている。同社は債務が30兆円を超すと公式に言われているが、実際はそれより多い債務を抱えていると言い、もし倒産すればそこに貸し込んでいる銀行の中にも倒産するところが出てくるという。同社の倒産危機は米国のリーマンショックにたとえられるが実際は日本のバブル崩壊時の長銀のケースのほうにより似ているという。そして同じような問題は恒大グループだけでなく、中国の不動産産業全体が同じ危機に直面しているが、政府はそれを助ける気はなく、そこには習近平の、江沢民などの旧勢力との対立が背景にあるという。

2021年9月29日水曜日

中国はバブル崩壊真っ只中

  中国では各地で大規模な不動産開発をしている物件がそのまま廃墟になったりする事案が多数出ているようで、その画像をみると日本のバブル崩壊がそのまま規模を大きくして再現されているとしか言いようがない状況。

 中国はかねてから日本のバブル崩壊という失敗を徹底的に研究してきたと言われている。その挙句がその失敗をそのまんま繰り返しているようにみえる。不動産の大規模開発は、大きな経済活動をするのに不可欠で、それが成功すれば大きな経済発展につながる。貴州省は中国でも最も貧しい地域と言われるが、そこで壮大な建造物を建て、観光の目玉にしようとして、それが失敗しそのまま廃墟になったなんてのはバブル時代の日本の地方で見たことのデジャヴかと思うほどだ。

 このことから分かるのは、不動産バブル崩壊というのは、いくら研究して、その失敗を意識して避けようとしても、経済活動には大きな先行投資が有効である以上、ほぼ避けることができないということだと思う。それは米国ではリーマンショックという形で起きた。失敗をおそれて先行投資が小規模であればそれは経済的利益のチャンスをみすみす見逃すということにもなる。だから特に経済成長を重んじる場合、それはやはり避けがたい。逆に日本はバブル時代の負の遺産が物理的にも心理的にも大きすぎて、大規模な不動産事業への先行投資に及び腰なので経済成長があまりできていないということもたぶんあると思う。そんな中でリニア新幹線なんかはよくやったほうだと思う。


 今中国では恒大グループという中国不動産最大手の超巨大企業が30兆円以上の負債を抱えて、それが最近になって世界同時株価安を招いたことで急に最近になってニュースを賑わすようになっている。他にも、中国国内では各地で大規模な洪水が起きたり(ダムの大規模な放水が原因だとも言われる)、大規模かつ長期の停電が起きたりしているという。国際社会では台湾が国際社会で歓迎され、中国は北京五輪を前に人権問題でボイコットする国が出るのではないかとも言われたりして、旗色が9月に入ってどんどん悪くなっているように思える。不動産バブル崩壊ということはそれこそ20年以上にわたって言われてきて、鬼城なんてことは何年前に言われたことだろう。それが、今年になって半導体企業大手が経営破綻か何か起こすなど、大企業がたて続けに不具合を起こしたりしている。中国崩壊論はずっと言われてきたが、最近はそれがかつてないほどリアルな様相を呈してきている。今まだ我々に届いていないような剣呑なニュースがこれからも新たに出てくる予感でいっぱいである。

スーダン情勢

スーダンでは4年前の2019年4月にパンや燃料の値上げに抗議する市民のデモをきっかけに、軍がクーデターを起こして独裁的なバシール大統領を失脚させ、30年にわたる長期政権が崩壊。同時期にアルジェリアでも反政府デモで長期政権が崩壊したため「第2のアラブの春」と呼ばれた。  軍は民主化...