2019年5月13日月曜日

米国が中国からの輸入品に25%の関税実行

5月6日(月) 米ポンペイオ国務長官がフィンランドで演説、中露が北極圏を軍事利用しようとしていると警戒を呼びかけた。北極圏は各国が経済開発に関心を示し
ているが、中国は一帯一路構想を拡大して、北極圏で過去6年間に900億ドル(10兆円)を投資した、中国はインフラを造ることで中国の恒久的な拠点を作るというよくあるパターンだと指摘、「北極海を南シナ海にしてもいいのか」と訴えた。また、ロシアも冷戦時代の軍事基地の利用を再開するなど北極圏での軍事的な影響力を強化しようとしている、と指摘。アメリカは沿岸国との軍事演習、北極海を航行する砕氷船の建造などで沿岸国との外交関係を強めて中ロ両国に対抗していく方針を示た。

5月5日(日) 米トランプ大統領が、中国からの2000億ドル分の輸入品に10%上乗せしている関税を、10日の金曜日から25%に引き上げるとツイッターに投稿。世界各国の株式市場の株価が大きく下落。
 米中貿易交渉で、米側は去年12月の米中首脳会談で、中国からの2000億ドルの輸入品に上乗せしている関税を引き上げる方針をいったん棚上げし、貿易摩擦の解消に向けて交渉を続けてきた。

4月8日(水) 中国の税関総署の発表。4月の輸出と輸入をあわせた貿易総額は3731億4000万ドルと、去年の同じ月を0.4%上回った。輸入が4%増えた一方、輸出は2.7%減少。このうちアメリカへの輸出は313億ドル余りと、去年の同じ月を13%下回り、アメリカによる制裁関税の影響が本格的に表れた。

4月10日(金) 米トランプ政権は中国からの2000億ドルの輸入品に上乗せする関税を25%に引き上げた。それに加えて、アメリカ通商代表部は同日、まだ関税を上乗せしていない約3250億ドル分の輸入品にも高い関税を上乗せする手続きを始めると発表。今回の閣僚級交渉で、中国がアメリカの要求に応じず、歩み寄りが見られなかったため、具体的な手続きに踏み切ったものとみられる。これが実行されれば、中国からの5300億ドル余りの輸入品ほぼすべてに高い関税が上乗せされることになる。

(私の感想) これは純粋に経済や貿易の話ではなく、技術覇権、商慣行、軍事派遣の問題を含み、さらには道徳、理念、国体の問題も含んでいる。もし単に経済の問題ならば米国内の消費者などは自国政権に反発を強めるだろうが、去年10月のペンス副大統領演説や、この記事冒頭のポンペイオ国務長官の演説などにみられるように、中国やロシアなどの問題は理念、道徳の問題であることを強調することによって、オールアメリカの合意を得ている。独裁国家は自国民の同意なくしてもいろんなことを決定することができる強みを持っているが、民主国家はそういうことは難しい。しかしもし民主国家が国民の幅広い合意をとりつけることができたら、これは色んな意味で独裁国家よりも強いと思う。国民はすすんで我慢もし、協力もするだろうから。中国はトランプ政権の地盤を中心にした産業の産物に高関税をつけるなど、いろんな方法で米国内からトランプ政権を揺るがせると考えていたが、そういう道は事実上塞がれた。中国はいろいろ緻密に計算をしながら行動するが、基本的に独裁国独特のセンスのダサさがあり、民主国家のように社会の事象のすべてを読んで行動するというセンスを持たない。もし反対者がいた場合、民主国家はそういう反対者たちをいかに味方につけるか、少なくともますます敵対しないようにと気を充分遣うが、独裁国家にはそのようなセンスがもともとないので、国内では反対者を弾圧しするし、国外の反対者に対しても同様な態度をとる。しかし国外の反対者を弾圧するわけにはいかないので、そういう敵を国内外にどんどん作ることになり、それが今回のトランプ政権のような対中強行姿勢につながっている。アメリカだって色んな悪いこともしてるし、情報的にもいろんなことをしてるが、少なくとも中国よりははるかにましだ、ということだ。





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